受け口・開咬

Case②

  • 10代女性 受け口で咬み合っていない

    治療前

    年齢:17歳
    主訴:上下の歯が全体的に咬み合っておらず、デコボコに並んでいるのを治したい。
    診断:叢生(歯が並ぶスペースが不足し、重なりや捻じれが生じている)
       下顎前突(下あごの前歯が前方に突出している)
       開咬(上下の歯が離れており、奥歯しか咬合接触していない)
       翼状捻転(下の前歯2本が左右に開くように捻れている)
       歯列幅径の不調和(歯列の大きさが上下でアンバランスになっている)

  • 治療方針

    治療中

    装置:唇側マルチブラケット(クリアタイプ)
    抜歯部位:上顎両側第二小臼歯、下顎両側第一小臼歯
    治療期間:1年10か月
    総額:約85万円(税込)
    治療方針:骨格的な不調和を伴う症例であったため、顔貌の改善も目的とした顎矯正手術(顎離断術)を併用する外科的矯正治療も選択肢として提示しました。しかし、患者さんは矯正治療単独での改善を希望されたため、歯の移動による咬合改善を目指す方針としました。
    叢生、被蓋関係、および大臼歯・犬歯のⅢ級関係を改善するため、上顎両側第二小臼歯と下顎両側第一小臼歯を抜歯し、歯の移動に必要なスペースを確保する計画としました。
    上顎は最小の固定とし、左側犬歯の唇側転位および前歯の歯軸を改善するとともに、大臼歯を近心移動させることで大臼歯関係の改善を図ることとしました。
    一方、下顎は中等度の固定とし、前歯および犬歯を遠心移動させることで、前歯の被蓋関係と犬歯関係の改善を図る治療計画としました。
    上下顎それぞれの固定様式と歯の移動方向を調整することで、骨格的な不調和を考慮しながら、機能的な咬合関係の獲得を目指しました。

  • 治療結果

    治療後

    顎変形症として外科矯正となる可能性も高い症例でしたが、矯正治療単独で大臼歯および犬歯のⅠ級関係が獲得され、叢生も改善しました。また、前歯および臼歯部の適切な被蓋関係と緊密な咬合が得られました。レントゲン検査でも歯根の平行性が確認されました。
    本症例では上下顎の歯列幅径の調和を図りながら、下顎前歯が過度に舌側傾斜しないように遠心移動させる必要がありました。そのため、特に下顎前歯のトルクコントロールに留意して治療を進めました。
    その結果、下顎前歯を歯槽骨内の適切な位置に維持しながら歯列を改善することができました。また、歯槽骨形態の変化に伴い、骨格的な不調和の軽減も認められました。
    骨格的な不調和を伴う症例に対し、歯の移動方向と歯軸を慎重にコントロールすることで、機能的な咬合関係の獲得を目指した症例です。
    リスク:痛みや違和感、虫歯・歯周病、歯根吸収、歯肉退縮、顎関節症状などの可能性