先天欠損・過蓋咬合
治療前
年齢:14歳
主訴:前歯の傾きと咬み合わせを治したい
診断:過蓋咬合(咬み合わせが深く、上の前歯は内側に傾いている)
叢生(歯が並ぶスペースが不足し、下の前歯は重なりや捻じれが生じている)
先天欠損と正中の偏位(上あご右側の前歯が無いため、真ん中がズレている)
Ⅱ級の咬合関係(上の歯列全体が、下の歯列より前に出ている)
治療中
装置:表側クリアマルチブラケット、ホールディングアーチ
抜歯部位:上顎左側第一小臼歯
治療期間:2年8か月
総額:約90万円(税込)
治療方針:上顎左側第一小臼歯を抜歯し、過蓋咬合、上下顎歯列の叢生および正中の不一致の改善を治療目標としました。過蓋咬合については、Overjet(水平被蓋)+3.0mm、Overbite(垂直被蓋)+2.0mmを目標に設定しました。
短顔型(Brachyfacial pattern)の顎態を有し、口元の後退を必要としないことから、上顎の固定源にはホールディングアーチを使用し、歯列の固定を図る方針としました。
上顎左側第一小臼歯の抜歯後、まず犬歯を遠心移動させ、上下顎歯列の正中を一致させる計画としました。その後、前歯のトルクコントロールに留意しながら遠心移動を行い、歯列正中と前歯の位置関係の改善を目指しました。
下顎では、叢生の改善とスピーカーブの平坦化を行うこととしました。さらに、Ⅱ級ゴムを併用することで下顎大臼歯の挺出と上下顎前歯の圧下を図り、過蓋咬合の改善を目指す治療計画としました。
上下顎の歯の移動方向と垂直的なコントロールに配慮しながら、適正な前歯被蓋と調和のとれた咬合関係の獲得を目指しました。
治療後
治療の結果、前歯の被蓋関係はOverjet +3.0mm、Overbite +2.0mmとなり、適正な範囲に改善しました。また、上下顎歯列の正中も一致しました。
上顎右側側切歯の欠損により歯列は左右非対称ですが緊密な咬合が得られました。
上顎中切歯の歯軸を示すU1 to SNは104.0°となり、上顎前歯の過度な舌側傾斜が改善されました。また下顎中切歯の歯軸を示すIMPAは104.0°となり、下顎前歯は唇側傾斜を示した結果、上下顎前歯の歯軸関係を示すInterincisal angleは124.4°となり、標準的な値が得られました。
過蓋咬合と歯列正中の改善に加え、上下顎前歯の歯軸を調整することで、適正な前歯被蓋と機能的な咬合関係を獲得した症例です。
リスク:痛みや違和感、虫歯・歯周病、歯根吸収、顎関節症状、後戻りなどの可能性